過払い金|企業合併に伴う過払い金返還債務の支払い拒否は違法


いわゆる消費者金融会社の営業の譲渡を受けて当該譲渡会社の商号を続用した譲受会社が,譲渡会社の債務については責めに任じないとの免責登記をしていた場合であっても,顧客の譲渡会社に対する過払い金返還債務の支払を拒むことが信義則に反するとされた事例。

主文

1 控訴人の控訴及び被控訴人の附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
(1)控訴人は,被控訴人に対し,金67万7509円及び内金40万0486円に対する平成18年3月11日から,内金15万円に対する平成17年6月7日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被控訴人の,その余の請求(当審における拡張部分を含む)をいずれも棄却する。
2 控訴人のその余の控訴,及び被控訴人のその余の附帯控訴を,いずれも棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを5分し,その4を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。
4 この判決は,第1項(1)に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 当事者の求める裁判

1 控訴人
(控訴について)
(1)原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。
(2)被控訴人の請求を棄却する。
(3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
(附帯控訴について)
(1)本件附帯控訴を棄却する。
(2)附帯控訴費用は被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
(控訴について)
(1)本件控訴を棄却する。
(2)控訴費用は控訴人の負担とする。
(附帯控訴について)
(1)原判決を次のとおり変更する(請求の拡張)。
(2)控訴人は,被控訴人に対し,116万9495円及び内金70万1491円に対する平成18年3月11日から支払済みまで年6分の割合による,内金15万2500円に対する平成17年6月7日から支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。
(3)訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。
(4)仮執行宣言

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第2 事案の概要

1 本件は,ハッピークレジット株式会社(以下「旧ハッピークレジット」という。
及び同社から平成12年6月1日に営業譲渡を受けてその商号を続用した控訴人との間で継続的な金銭消費貸借取引を行ってきた被控訴人が,控訴人に対し,(1)旧ハッピークレジット及び控訴人との取引経過について利息制限法を適用して引直し計算をすると過払い金が発生しており,控訴人は悪意の受益者で同過払い金に対し商事法定利率の年6分の割合による利息の支払義務を負うとして,不当利得返還請求権に基づき,過払い金元金70万1491円と平成18年3月10日までの既発生利息31万5504円及び同過払い金元金に対する同月11日から支払済みまで年6分の割合による利息の支払を求めるとともに(2)控訴人が旧ハッピークレジットにおける取引履歴を開示しなかったことは違法であるとして,民法709条の不法行為の損害賠償請求権に基づき,慰謝料等15万2500円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成17年6月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原判決は,控訴人の,旧ハッピークレジットが負っていた過払い金返還債務は商法(平成17年法律第87号による改正前のもの,以下同じ。
)26条2項所定の免責登記により免責されるとの抗弁を排斥し,過払い金返還債務の利息の利率を民事法定利率の年5分,取引履歴の非開示による損害を4万円として,
被控訴人の請求を一部認容した。
原判決に対し,控訴人は被控訴人の請求の棄却を求めて控訴し,他方,被控訴人は附帯控訴して,取引履歴の非開示による損害を原審主張額の15万0854円から15万2500円へ請求を拡張した。

前提となる事実

当事者間に争いのない事実と証拠(省略)によると次の事実が認められる。
(1)控訴人は,貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)による登録を受けた貸金業者である。
控訴人は,昭和57年4月27日に消費者金融大手のアイフル株式会社の100%子会社として資本金1000万円で設立され,設立当初の商号は「株式会社クレストファクタリング」で,本
店は京都市a区b町c番地,代表取締役はAであった(証拠略)。
(2)旧ハッピークレジットは,株式会社幸福銀行(以下「幸福銀行」という)の系列会社として昭和47年5月25日大阪市d区e町f番g号で,代表取締役をB,消費者金融業を事業目的として「ハッピークレジット株式会社」の商号で資本金1000万円で設立され,その後,近畿を中心に次々と支店を開店して事業を拡大していき,平成11年3月末時点において,近畿・東
海地区に32事業所(無人店9店)を開店し,従業員は152名であり,営業利益は平成10年3月期の第26期が9億3595万2142円,平成11年3月期の第27期が6億5940万2625円,平成12年3月期の第28期が7億7846万9517円であった。
旧ハッピークレジットの経営状態は,上記のとおり,特に問題なく推移していたが,平成11年5月に主力銀行で,グループ会社でもある幸福銀行が経営破綻し,金融再生委員会より管理命令が発せられる事態となり,この幸福銀行の経営破綻により,旧ハッピークレジットも,信用悪化を招き資金供給が枯渇して,事業継続が著しく困難になるのが必至の状況となった。
旧ハッピークレジットは,経営破綻の最悪の事態を可能な限り回避するため,金融再生委員会及び金融整理管理人の示唆に基き,関連会社である株式会社スカイとともに,旧ハッピークレジットらの有する営業貸付債権をその劣化前に他の事業者に譲渡して引当資産を保全すると共に,営業自体も譲渡して顧客の混乱を回避し,また,従業員もその譲渡先に全員再雇用してもら
うという営業譲渡の方法により打開策を模索し,平成11年7月ころから具体的な営業譲渡先の選定作業に入り,平成12年2月に,消費者金融大手のアイフル株式会社から,営業貸付債権を好条件で譲り受けるほか,従業員全員再雇用,旧ハッピークレジットと株式会社スカイの同時譲受などを骨子とする意向表明があった。
そのため,旧ハッピークレジットは,金融再生委員会などとも協議の上,具体的な条件交渉に入った結果,アイフル株式会社の100%子会社である株式会社クレストファクタリング(控訴人)が,旧ハッピークレジットの営業貸付債権全部と営業承継に必要な固定資産等を譲り受け,従業員も全員同条件で再雇用することなどを骨子とする平成12年3月29日付け営業財産譲渡契約が,旧ハッピークレジットと譲受会社である控訴人との間で締結された。
(3)被控訴人は,幸福銀行の関連会社であった旧ハッピークレジット(大阪市d区e町f番g号,代表取締役B,証拠略)との間で,同社の近鉄四日市駅前にある営業店舗において,平成6年7月22日に金銭消費貸借包括契約証書を作成した(証拠略,ただし,これが同社との取引の開始であったかについては争いがある。)。
同契約証書では,借入限度額が30万円,借入の利率が実質年率32.85パーセント,遅延利息の利率が実質年率39.00
パーセント,返済方式及び各回の返済金額として元利定額リボルビング方式毎返済期日に定額金1万4000円を支払い,これをまず前日までの利息に充当し,残りを元金に充当すると記載され,13条(合意管轄裁判所)には「本契約に関して裁判手続きの必要が生じたとき,ハッピーの本社或いは四日市支店の所在地のどちらかハッピーの選定する裁判所のみを管轄裁判所とすることに合意します。」との条項がある。
そして,被控訴人は,少なくとも平成6年11月30日から平成12年4月24日までの間,旧ハッピークレジットとの間で,利息制限法所定の制限利率を超えた約定利息・遅延損害金のもとで継続的な金銭消費貸借取引を行い,金銭の借入れと弁済を繰り返した。
これらの被控訴人と旧ハッピークレジットとの間の取引は,同社の近鉄四日市駅前にある営業店舗において取り扱われた。
(4)控訴人(当時の商号は株式会社クレストファクタリング,平成7年12月1日に本店を京都市h区i町j番地kに移転,代表取締役A)は,平成12年3月29日,旧ハッピークレジット(大阪市d区e町f番g号,代表取締役A)との間で,上記(2)のとおり,営業財産譲渡契約を締結した(以下「本件営業譲渡契約」といい,同契約にかかる契約書を「本件営業譲渡契約
書」という。証拠略)。
なお本件営業譲渡契約書において,控訴人は京都市h区i町j番地k,株式会社クレストファクタリング,代表取締役Cと記載されている。
控訴人は,上記営業譲渡に伴い,顧客承継を円滑に実行するため,平成12年4月5日に,旧ハッピークレジットと同じ「ハッピークレジット株式会社」に商号を変更し,本店を大阪市l区m町n丁目o番p号に移転した(証拠略)。
(5)旧ハッピークレジットは,本件営業譲渡契約に従い,平成12年5月31日をもって営業を終了し,同年6月1日に控訴人にその営業を譲渡した(以下「本件営業譲渡」という。)。
控訴人は,その際,商号の譲渡も受け,以後「ハッピークレジット株式会社」の商号を続用したが,平成12年6月9日に,本店において,「当会社は平成12年6月1日商号の譲渡を受けたが,譲渡人である大阪市d区e町f番g号ハッピークレジット株式会社の債務について責に任じない。」旨,旧ハッピークレジットの債務について商法26条2項所定の免責登記(以下「本件免責登記」という。)を了した(証拠略)。
一方,旧ハッピークレジットは,債権譲渡,登記の年月日平成12年6月1日,譲受人控訴人,債権の総額214億0392万0622円との登記を同年6月2日に行った。
(6)旧ハッピークレジットは,本件営業譲渡の後,残務処理を行い,平成13年1月11日に「四ツ橋クレジット株式会社」へと商号を変更し,同月末に大阪地方裁判所に自己破産を申し立て同年2月9日に破産宣告を受けた(証拠略)。
(7)被控訴人は,旧ハッピークレジットの営業譲渡に伴い貸主たる地位を譲り受けた控訴人に対し,平成12年6月6日から平成15年11月28日までの間,別紙1の「弁済額」欄64ないし80記載のとおり,返済を繰り返した。
これらの被控訴人と控訴人との間の取引は,同社が本件営業譲渡に伴い旧ハッピークレジットから承継した近鉄四日市駅前にある上記営業店舗(以下「四日市駅前店」という。)において取り扱われた(証拠略)。
(8)控訴人(代表取締役A)は,平成14年5月1日本店を大阪市l区m町n丁目o番p号から,京都市q区r町s−tに移転し,平成16年4月12日商号を「ハッピークレジット株式会社」から現在の「トライト株式会社」へと変更し,平成17年4月4日本店を肩書住所地へ移転し,その後も貸金業を継続している。

争点

(1)被控訴人が控訴人に対して過払い金返還請求権を有するか。
ア被控訴人と旧ハッピークレジットとの間の取引経過
イ控訴人が旧ハッピークレジットとの間で,被控訴人に対する過払い金返還債務を承継しない旨合意したか。
ウ控訴人は,旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を本件免責登記により承継しないとして被控訴人に対抗できるか。
エ過払い金返還債務の利息の利率
(2)被控訴人の控訴人に対する取引履歴非開示による損害賠償請求権の有無
ア控訴人が,被控訴人の旧ハッピークレジットとの間の取引履歴を開示しなかったことで不法行為責任を負うか。
イ損害額

争点に関する当事者の主張

(1)争点(1)ア(被控訴人と旧ハッピークレジットとの間の取引経過)について
(被控訴人の主張)
ア被控訴人と旧ハッピークレジットとの間の取引経過は,別紙1(別紙省略。以下別紙全て省略)における1994(平成6)年11月30日から2000(平成12)年4月24日の該当欄に記載のとおりである。
この点については,原審において擬制自白が成立しており,擬制自白も自白の一種であるところ,例外的に自白の撤回が認められる真実に反し,かつ錯誤に基づくものという事情は認められない。
そうすると,平成18年3月10日現在の過払い金合計は70万1491円である。
イ控訴人が控訴審において主張する被控訴人と旧ハッピークレジットとの間の取引経過は別紙2「元利金計算書」(証拠略)であるが,これによって旧ハッピークレジット及び,控訴人との取引における過払い金を算出すると,原審での認定額より低額になる(証拠略)。
しかし,仮に同取引経過が真実であるならば,わざわざ過払い金が多いままの状態を控訴審の段階まで放置するとは考え難く,より早期に同取引経過を開示したはずである。
また,被控訴人提出の控訴人の会員カード(証拠略)は,控訴人が作成したものではなく,その作成経緯は不明であるから,元利金計算書の正当性を裏付けるものではない。
したがって,元利金計算書の内容は到底信用できない。
(控訴人の主張)
ア被控訴人と旧ハッピークレジットとの間の取引は平成3年3月13日に開始され,平成12年4月24日まで継続しており,その詳細は,別紙2「元利金計算書」のとおりである(証拠略)。
これによれば,平成12年6月1日時点の旧ハッピークレジットの被控訴人に対する過払い金返還債務の額は27万6331円である。
元利金計算書の内容が真実であることは被控訴人の会員カード(証拠略。会員カードとは,初回融資の際に顧客管理のために作成し,新規融資や住所変更等があれば随時改訂していくものである。)に記載された内容と一致していることによって裏付けられる。
イ被控訴人が主張する別紙1の取引経過については,平成6年11月30日以降の取引しか記載されておらず,しかも1万2000円の弁済から始まっている。
貸金業者とその顧客との間において,このように貸付けを前提とせずに,いきなり弁済から開始する取引はあり得ない。
また,被控訴人は擬制自白の撤回は認めるべきではないと主張するが,擬制自白には当事者拘束力はない。
(2)争点(1)イ(控訴人が旧ハッピークレジットとの間で,被控訴人に対する過払い金返還債務を承継しない旨合意したか)について
(被控訴人の主張)
控訴人は,本件営業譲渡において商号を続用することにより,商法26条1項に従い,旧ハッピークレジットの被控訴人に対する過払い金返還債務を承継する旨合意した。
ア営業譲渡において商号を続用する譲受人の責任
本件営業譲渡において,譲受人である控訴人は,商法245条1項1号による「営業の全部又は重要なる一部の譲渡」を受け,しかも,旧ハッピークレジットの商号を続用しているから,同社は法律上当然に競業避止義務を負うことになる。
したがって,控訴人は,商法26条1項に基づき,旧ハッピークレジットの営業により生じた被控訴人に対する過払い金返還債務を承継し,それについて弁済する責任を負う。
そして,控訴人は,旧ハッピークレジットから営業譲渡を受けて商号を続用したから,本件営業譲渡時に既に発生していた過払い金返還債務についても,営業用財産と有機的一体をなすものとして,旧ハッピークレジットから承継したと推定される。
これに対し,控訴人が主張する本件営業譲渡契約において旧ハッピークレジットの被控訴人に対する過払い金返還債務を承継しない旨の合意があったとの事実は,次のとおり立証されていない。
イ過払い金返還債務を承継しない旨の合意の不存在
(ア)過払い金返還債務は貸付債権と不可分である。
約定利率が利息制限法所定の制限利率を超えており,かつ,みなし弁済の要件を満たさない継続的な金銭消費貸借においては,貸付債権と過払い金返還債務はその性質上密接不可分の関係にあるので,分離してどちらかのみを譲渡することはできない。
すなわち,ある金銭消費貸借について貸付債権が存在するか逆に過払い金返還債務が存在するかの判断対象は,顧客と貸金業者との間の従前の取引経過という単一の契約関係にすぎないのであって,みなし弁済の成否という法的判断における見解の相違によって結論が異なってくるにすぎない。
その意味で,貸付債権と過払い金返還債務は,単一の契約関係においていわば表裏一体の関係にある。
したがって,過払い金返還債務は,契約関係そのものと同視すべきものであり,独立の支分権的な債務とはいえないから,当該金銭消費貸借の貸主たる地位を譲り受けておきながら過払い金返還債務は引き受けないものとすることはできない。
(イ)本件営業譲渡契約における合意内容の合理的解釈
本件営業譲渡契約書には,過払い金返還債務を承継しないものとする文言はない。
また,本件営業譲渡契約では,旧ハッピークレジットの貸付債権は額面により評価されているし,控訴人は旧ハッピークレジットの顧客データ等を承継し,顧客データの移転が完了した後は,旧ハッピークレジットは顧客情報を消去することとなっている。
そして,本件営業譲渡契約書
では,第3条3.2(2)<6>)において,譲渡対象債権の額を評価した基準日から2か月以内に,営業貸付債権等について,過払い金返還請求を受けた債権が判明した場合には,当該貸付けにかかる営業貸付債権等の額を譲渡対象資産の額から控除し,控訴人が返還した過払い金については追加的に控除することもある旨が定められているところ,同規定は譲受人である控訴人が過払い金返還債務を承継することを前提とした規定といえる。
以上のような本件営業譲渡における合意内容を合理的に解釈すれば,旧ハッピークレジットと控訴人との間において,過払い金返還債務を承継しないという合意は存在していない。
(控訴人の主張)
控訴人は,旧ハッピークレジットとの間の本件営業譲渡契約において,商法26条2項に従い,被控訴人に対する過払い金返還債務を承継しない旨合意している。
ア控訴人と旧ハッピークレジットは,本件営業譲渡契約の際,旧ハッピークレジットの負債については,本件営業譲渡契約書第2条2.2(1)に規定する旧ハッピークレジットの「顧客預り金」及び「顧客前受収益」を除き,一切引き受けないことを約した。
「顧客預り金」及び「顧客前受収益」は,いずれも過払い金返還債務とは一切関係のない金員であるから,控訴人は旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を承継していない。
イ被控訴人の主張に対する反論
(ア)貸付債権と過払い金返還債務が不可分一体との見解は誤りである。
不当利得責任と契約責任とは,要件,効果,法的性質等を全く異にするものであり,過払い金返還請求権は契約関係から発生するものではないから,両者を混同した議論は失当である。
貸付債権と過払い金返還債務が不可分一体であるとの主張は,被控訴人の独自の見解にすぎない。
(イ)被控訴人による本件営業譲渡契約の合意内容の解釈は誤りである。
本件営業譲渡契約書第3条3.2(2)の規定は,譲受対象債権の経済的価値(回収可能性)の評価にかかる調整規定であり,債務の承継に関する調整規定ではないから,控訴人が旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を当然に承継する趣旨ではないことは明らかである。
同規定では「債権回収に困難をきたす…債権」<7号>の具体例として「過払返還請求を受けた債権」を列挙しているのであり,顧客から過払い金返還請求を受けるような局面においては,当該顧客からなお譲受対象債権を回収することは困難であるから,当該債権の経済的価値をゼロと評価して譲渡対価の支払対象外とするため,当該債権が経済的価値を有することを前提として暫定的に算出された譲渡対価から,当該債権の元金残高相当額等を控除するという調整を行うことを規定しているにすぎない。
また,本件営業譲渡契約において貸付債権が額面で評価されたことと債務を承継するかどうかは別問題であり,むしろ過払い金返還債務を承継しないからこそ,貸付債権が額面で評価されたのである。
さらに,顧客データ等は,いずれも「資産」ないし「債権」であって「負債」ないし「債務」ではないから,控訴人が,旧ハッピークレジットからかかる「資産」又は「債権」の譲渡を受けたことも,控訴人が旧ハッピークレジットの被控訴人に対する過払い金返還債務を承継した理由となるものではない。
(3)争点(1)ウ(控訴人は,旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を本件免責登記により承継しないとして被控訴人に対抗できるか)について
(控訴人の主張)
ア控訴人は,本件営業譲渡の後,遅滞なく本件免責登記をしている。
そして,以下のとおり,控訴人の四日市駅前店が商法上の支店に当たらないし控訴人の免責の主張は信義則に反しない。
したがって,控訴人は,商法26条2項により,旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を承継しないことを被控訴人に対抗できる。
イ四日市駅前店が商法10条の支店に当たらない。
四日市駅前店は,本店の指示命令に従って機械的に取引を行うにすぎない場所であり,店頭窓口・自動契約受付機・ATMを備えただけの単なる店舗であることが明らかであるから,商法10条にいう支店には該当せずそもそも支店登記を要しない。
控訴人の営業組織上,四日市駅前店の店長の権限は極めて狭いものであった。
店長は,当該店舗にかかる営業においてすら法人を代表・代理する一般的権限は有しておらず人事権もない。
また,消耗品の購入を除いた独自の経費支出も認められていないし,営業活動に関しても金融庁事務ガイドライン・第三分冊(金融会社関係)において貸付けの上限とされている50万円の枠内でしかも本社の貸付基準に沿った貸付けしかすることができない。
そして,50万円以下の貸付けについても,会社全体で一括して管理されているデータに登録され,本社でも同店における貸付状況がオンラインで確認ができるようになっており,それを通じて具体的な貸付け,その後の回収状況を管理されていた。
また,簡単な回収業務は行うものの訴訟等の法的手続に関してはすべて本社の判断により行っているのであって,同店で行う回収業務の内容は機械的なものにすぎない。
四日市駅前店の人員構成も,わずか店長を含め従業員5名にとどまる。
ウ控訴人の免責の主張は信義則に反しない。
(ア)リスク負担について
金銭消費貸借契約上の関係においては,当事者である貸主及び借主がそれぞれ相手方が破産等に至るリスクを負担しているのであるから,本件について三者間の不当利得関係との前提でリスク負担者を考えるのは誤りである。
控訴人は,幸福銀行グループの破綻処理の一環として,旧ハッピークレジットの営業資産を譲渡する方針が採られたことから,その要請に応じて同社の資産を譲り受けたものであり,同社と従前から取引関係にあってその破綻リスクを甘受することもやむを得ない被控訴人とは根本的に立場が異なる。
そればかりか,控訴人は,既に適切に評価された譲渡代金を支払っているのであるから,さらに過払い金返還債務までを負うこととなれば,二重の金銭負担を強いられることになり,控訴人の負担の下で被控訴人のみが旧ハッピークレジットの他の債権者から抜け駆け的に債権回収を図る結果となり,不公平である。
(イ)被控訴人による権利行使の機会喪失について
控訴人は,旧ハッピークレジットより貸付債権を譲り受けたと主張しているもので,既発生の過払い金返還債務を含めた一切の契約関係を引き継ぐかのように振る舞ったことはない。
控訴人は,被控訴人に対して,旧ハッピークレジットの破産の事実をあえて秘したことはない上,控訴人は被控訴人に対してかかる破産の事実について告げるべき法的義務も道義的義務も一切ない。
被控訴人は,旧ハッピークレジットから控訴人への債権譲渡等の説明も受けた上で,債権譲渡の事実を異議なく承諾しているにもかかわらずかかる事実を一切無視した訴訟活動を行っているのであって,このことこそ禁反言の法理に反する。
(ウ)本件営業譲渡は相当の対価をもってなされており,本件営業譲渡は詐害行為的ではない。
被控訴人は,旧ハッピークレジットが本件営業譲渡により受け取った対価は同社の債権者の一部に対する弁済にのみ充てられて,被控訴人のような過払い金返還請求権の債権者はほとんど弁済を受けなかったと主張するが,これは,旧ハッピークレジットが債務超過であり,金融機関が別除権(担保権)を有していたことからすれば当然の処理にすぎない。
(エ)控訴人に,過払い金返還債務の存在の認識がない。
利息制限法を超過する利率が設定されていることと,過払い金が現に発生しているか否かは全く別の問題であるし,リスク回避については様々な手段があるのであって,控訴人は,本件債権譲渡契約において過払い金返還債務を承継しない合意をしたのであるから,旧ハッピークレジットの過払い金返還債務の存否について関知すべき立場にはなかった。
(オ)他事例における和解による解決について
信義則とは,個々の当事者間ごとの個別事情に基づいて判断されなければならないものであるから,本件において,控訴人が被控訴人に対して旧ハッピークレジットの債務を承継していないと主張することが信義則に違反するか否かは,控訴人と被控訴人との間の個別事情から判断されなければならないのである。
控訴人以外の者との間の和解は,本件における信義則違反の有無を判断するに当たり,何らの意味を有しない。
(被控訴人の主張)
ア控訴人の上記免責の主張は争う。
控訴人は,本件営業譲渡に伴い旧ハッピークレジットの商号を続用しているから,以下のとおり,商法26条,13条,12条により,本件免責登記による免責の効力が認められないし
控訴人は,旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を承継しないことを善意の第三者である被控訴人に対抗できない。
イ四日市駅前店の支店登記における免責登記の不存在
控訴人は,被控訴人と取引をしていた四日市駅前店が商法10条の支店としての実質を有するにもかかわらず,同店の支店登記をしておらず,ひいては支店登記における免責登記をしていない以上,商法13条等により旧ハッピークレジットの過払い金返還債務を承継しないことを被控訴人に対抗できない。
四日市駅前店が商法上の支店に当たることについては,擬制自白が成立しており,その撤回は認められない。
実体をみても,四日市駅前店は,旧ハッピークレジットの金銭消費貸借包括契約証書(証拠略)において「四日市支店」と表記されており,支店としての名称を有している。
加えて,四日市駅前店は,営業2課の統括を受ける一店舗として三重県下において広く営業活動をしており,初回でも50万円という金融庁事務ガイドラインの上限金額まで独自に貸付けを行
う広い権限を有し,店長のほか常勤の従業員が5名もいて,旧ハッピークレジットの当時から,少なくとも15年以上の長期にわたり設置されていた。
同店では,給与等は本社支給であったが日用物品は独自に購入することができ,貸金回収のための同店専用の銀行預金口座があり,本店から離れて一定の営業活動を行って対外的取引をなしていた。
こうした諸点に照らせば,四日市駅前店は,支店としての実質も有している。
ウ信義則違反
控訴人による過払い金返還債務を承継しない旨の主張は,以下の事情に照らし信義則に違反するから,これを被控訴人に対抗することはできない。
(ア)リスク回避可能性
三者間の給付不当利得関係の当事者の一人の無資力のリスクは,その無資力の危険を回避できたにもかかわらず回避しなかった者が負うべきであり,あえて回避可能なリスクを回避しなかった者が,リスク回避の方法のない者の不測の損害において利得をするのは,信義に反し許されない。
本件では,控訴人は,将来顧客から利息制限法所定の利率による引直し計算の主張を受けるリスクを考慮して,営業の譲受価格を決めることが可能であったのに対し,一般市民である被控訴人は,旧ハッピークレジットが無資力となることのリスク回避は不可能であった。
よって,控訴人が旧ハッピークレジットの無資力のリスクを負うべきである。
(イ)旧ハッピークレジットに対する権利行使機会の喪失
控訴人は,本件営業譲渡後は控訴人のみが取引の相手方であると被控訴人に信じさせて,被控訴人による旧ハッピークレジットに対する権利行使の機会を喪失させた。
控訴人は,本件営業譲渡後も,旧ハッピークレジットと同一の基本契約に基づき同一の顧客番号で被控訴人からの返済を収受しているのであって,貸金の返済と過払い金請求の相手が別になるとは考え難いことに照らし,旧ハッピークレジットの過払い金返還義務を承継しないと主張することは禁反言の法理に違反する。
(ウ)本件営業譲渡が詐害的である。
本件営業譲渡において,旧ハッピークレジットが受け取った対価は,その一部の債権者である金融機関に対する弁済にのみ充てられ,被控訴人のような過払い金返還請求権の債権者はほとんど弁済を受けなかった。
そして,控訴人はこのことを十分認識していたのであるから,本件営業譲渡は,過払い金返還請求権の債権者らとの関係では詐害行為的である。
かかる事情のもとでは,本件営業譲渡に当事者として加わった控訴人に旧ハッピークレジットの無資力の危険を負わせるのが公平な結論であり,逆に,過払い金返還債務を免責するというのは当事者間の公平を著しく害する。
(エ)過払い金返還債務の存在についての悪意
控訴人は,旧ハッピークレジットの貸付けが利息制限法を超える利率においてなされていたことを知っていたのであるから,過払い金返還債務の存在について悪意であり,過払い金返還債務を営業の譲受価格に反映させることができた。
したがって,本件営業譲渡時に過払い金について知り得なかった被控訴人ら顧客の不測の損害において,控訴人が過払い金返還債務を免れるという利益を得ることは,当事者間の公平に反する。
(オ)本件営業譲渡直後の控訴人による過払い金支払等の矛盾挙動
控訴人は,平成12年ころから平成18年の本件訴訟継続中までの間継続的に,訴え提起後に過払い金及び過払利息を満額支払うという内容の訴訟外和解をしている。
控訴人が,本件営業譲渡直後には旧ハッピークレジットからの過払い金返還債務の承継を認めておきながら,後日になって訴訟リスクを判断しながら過払い金返還債務を承継しない旨を主張することは,矛盾挙動である。
(4)争点(1)エ(過払い金返還債務の利息の利率)について
(被控訴人の主張)
ア旧ハッピークレジット及び控訴人は悪意の受益者であるから,過払い金返還債務の利息の利率は商事法定利率の年6分である。
控訴人は,旧ハッピークレジット及び控訴人における取引へのみなし弁済規定の適用についてその主張立証を何らしていない。
本件各金銭消費貸
借取引が利息制限法所定の利息を超えた約定利息によってなされていたことは当事者間に争いがないから,旧ハッピークレジット及び控訴人は民法704条の悪意の受益者である。
イ被控訴人は,商人として過払い金を貸金に充当することによって運用し,利益を上げていたのであるから,悪意の受益者として,過払い金返還債務につき商事法定利率年6分の割合による利息を支払う義務を負う。
したがって,平成18年3月10日までの既発生利息の合計は,別紙1のとおり,31万5504円となる。
ウよって,被控訴人は,控訴人に対し,民法704条の不当利得返還請求権に基づき,上記過払い金元金70万1491円と平成18年3月10日までの既発生利息31万5504円及び同過払い金元金に対する同月11日から支払済みまで年6分の割合による利息の支払を求める。
(控訴人の主張)
ア過払い金返還債務の利息の利率についての被控訴人の主張は争う。
控訴人
が過払い金につき不当利得返還債務を負うとしても,旧ハッピークレジット及び控訴人は悪意の受益者ではなく,その利息の利率は民事法定利率の年5分である。
イ民法704条の悪意立証の対象としては,問題とされる金銭消費貸借の借入残高がゼロになっていることを貸金業者が認識していたことまでが含まれる。
本件営業譲渡では,旧ハッピークレジットの一切の債務を承継しないことを前提とするスキームが実行されており,控訴人は,旧ハッピークレジットの過払い金返還債務の存否を含む債務の状況について調査する必要も義務もなかったし,限られた時間の中で5万件にも及ぶ譲渡債権につき,個別に取引経過を調査の上みなし弁済という法的判断を行うことなど不可能であったから,悪意でなかったことは明らかである。
ウ仮に控訴人が悪意であったとしても,利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息・損害金についての過払い金返還債務は,法律の規定によって発生する債権であるから,その悪意の受益者が支払うべき利息の利率は民事法定利率の年5分である。
(5)争点(1)(控訴人が旧ハッピークレジットとの間の取引履歴を開示しなかったことで,被控訴人に対し不法行為の損害賠償責任を負うか)について
(被控訴人の主張)
ア被控訴人代理人弁護士は,控訴人に対し,平成16年8月19日,同年11月12日,同年12月1日,平成17年5月9日に取引履歴の開示を求めているが,控訴人は,平成16年11月18日付けでようやく平成6年11月30日以降の取引履歴を開示したにとどまり,平成17年12月7日の原判決言渡し後まで,それ以前の取引履歴を開示しなかった。
取引履歴を開示しなかったことについては,擬制自白が成立している。
イ貸金業者は,金銭消費貸借契約の契約上の付随義務として,顧客から取引履歴の開示を求められた場合には,特段の事情のない限り信義則上これを開示すべき義務を負うのであり,本件営業譲渡により金銭消費貸借契約の貸主の立場を旧ハッピークレジットから承継した控訴人についても,当然に開示義務を負っている。
したがって,控訴人が,旧ハッピークレジットと被控訴人との間の取引履歴を開示しなかったことは違法であり,被控訴人に対し不法行為の損害賠償責任を負う。
ウ取引履歴非開示による損害額
被控訴人は,控訴人の一連の取引履歴の開示に対する消極的な対応により,過払い金確定が困難となり,早期の過払い金回収による円滑な債務整理を阻害され,少なくとも10万円の精神的苦痛を被った。
また,被控訴人は控訴人の取引経過非開示により弁護士に依頼することを余儀なくされ,弁護士費用相当額の損害を被ったが,弁護士費用は5万2500円を下らない。
なお,控訴人は,原判決が言い渡された後の平成17年12月19日に,代理人弁護士を通じて,突然取引履歴の開示として平成3年3月13日以降の「元利金計算書」(証拠略)を送付してきた。
しかし,仮に元利金計算書の記載内容が真実の取引経過であったとしても,被控訴人が主張する損害は既に発生済みであるから,解消されることはない。
エよって,被控訴人は控訴人に対し,民法709条の損害賠償請求権に基づき,慰謝料等15万2500円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成17年6月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(控訴人の主張)
ア貸金業者から営業譲渡がなされ,営業譲受人に過払い金返還債務が承継されず,かつ,当該事実を顧客に対抗できる場合は,顧客は,営業譲受人と顧客との間の取引に関して発生した過払い金返還請求権を営業譲受人に対して行使できる余地はないことから,営業譲受人としては,営業譲渡人と顧客との間の取引履歴を開示すべき義務を負わないと解すべきである。
貸金
業者の取引履歴の開示義務を認めた最高裁判所第3小法廷平成17年7月19日判決は,現に取引関係のあった貸金業者とその顧客の間での義務を問題としたにすぎず,本件のような場合については射程外である。
イしたがって,控訴人は旧ハッピークレジットと被控訴人との間の取引履歴を開示する義務は負っておらず,非開示が不法行為になることはない。
ウ被控訴人の損害の主張は否認する。
控訴人は,既に旧ハッピークレジットと被控訴人の全取引履歴を開示済みであるから,被控訴人には慰謝されるべき損害等は発生していない。

売買契約及び立替払契約

被告千扇之会らは,原告に対し,わずか2年間の間に,約30回にわたって,合計1848万0545円もの支払額に上る商品を販売したものである。
その商品は,着物(反物を含む。)28枚,帯22本,寝具6件等となっており,原告にとって不要な商品を大量に販売していたことは明らかである。
原告は,30数年来,月に数回御用聞きに訪れる京都の呉服商から,年間50万円から100万円未満程度,1点あたり20万円以下程度の呉服を購入していたが,本件で購入した呉服類は,金額の点のみならず,原告の従来の趣味とはおよそ合致しないものが多く,そのほとんどは,平成15年8月ころになっても未使用のままであった。
一方,それによる原告の支出は極めて過大なものであった。
平成13年6月から平成15年6月までの原告の収入は,平成13年7月までが1か月平均60万円強であり,同年8月以降が1か月平均40万円強であった。
原告が一人暮らしをしていたことを考慮すると,不要不急の支出に充てることのできた金額は,平成13年6月,7月においては,40万ないし45万円程度,平成13年8月から平成15年6月までは20万ないし25万円程度であったと推察される。
それにもかかわらず,平成14年10月までの契約によって,原告は,平成15年1月以降,毎月28万1100円にも上る支払が必要となっており,以後,平成15年7月に支払を停止するまでの間,毎月数十万円から100万円を超える支払を余儀なくされている。
原告は,3000万円から3500万円に及ぶ相当額の預貯金を一部取り崩して,本件売買契約及び本件立替払契約に対する支払を継続していたが,これは,老後のための大切な蓄えであって,安逸に費消することが許されるものではなく,事実,平成13年12月末ころまでは,原告は,これらの資産を減らすことなく収入に見合った生活を維持していたのである。
また,原告が平成14年11月6日に購入した約80万円の商品には,特典として上海旅行がついており,同年12月20日の約50万円の商品には,特典として山形旅行がついていたが,このように,高額な特典を提供する行為は,不当景品類及び不当表示防止法3条に基づく公正取引委員会告示「一般の消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」1項に抵触するおそれすらある。

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高額の過払い金請求
ライフカードとの争い
裁判所の判断
ここ
景観
人間

都市計画事業
都市計画事業の認可が事業施行期間を前提としており,事 業施行期間を超えた場合には認可の効力は及ばず,新たに認可を受けなければなら ないこと,事業計画の変更認可については都市計画法61条の要件が改めて審査 されること,「軽易な変更」を除いて事業計画を変更する場合には改めて認可が 必要であると定めていることからすれば,事業計画の変更認可は「変更」という言 葉が使われているが,当初の都市計画事業の認可とは独立した新たな認可処分であ ると考えるべきである。
エしたがって,本件変更認可が適法といえるためには「事業施行期間が適切 であること」のみが審理されるのではなく,本件道路事業全体が都市計画法61条 その他の要件を具備しているかが改めて検討されなければならない。
(2) 平成4年決定の実体的適法性について
ア景観権(景観利益)の侵害について
(ア) 景観権とは,その生活空間の中で良好な景観利益を享受する権利である。